【読書メモ】小さい会社に「獺祭」がくれる勇気 「獺祭 この国を動かした酒」

こんにちは、ふじこです。

 

いきなりですが、ぼくは山口県の小さなお土産屋に勤めています。

 

お土産屋というのは、自分たちが特に何もしなくても、そのエリアや観光地がメディアやSNSによって注目されれば、売り上げが伸びます。

また、大きなイベントがあったり、旅行会社への営業が功を奏し、お客様をたくさん送ってくれるときも伸びます。

 

では逆に、それらの要因が望めなかったら?

 

燦燦たる有様です。

 

お客様は、来てくれるときは来てくれるし、来てくれないときは来てくれないもの。

ほとんどの従業員は、そんな風に思っています。

お店を魅力的なものにしないと、だれも来てくれない。そういう危機感もありません。

 

ぼくはただの一社員ですが、現状を打破したい。

お土産屋としての魅力を上げて、旅行先の目的地の定番になりたい。

旅行会社に媚びへつらわなくても、にぎわうお店になりたい。

 

 

今回の読書メモは、勝谷誠彦さんの「獺祭 この国を動かした酒」です。

 

自分は日本酒に詳しくありません。

でも、獺祭ってフルーティでおいしいし、世界で人気(と言われる)日本酒の先鋒だし、何より、同じ山口県だし、誇らしい気持ちがあります。

 

だけど、獺祭を作っている「旭酒造」について、実はあまり知らない。

昔は潰れかけだった。今では最新の機械を用い、人に頼らない作り方をしている。

それくらいは聞いたことがあったけど…。

 

まあ、うんちくぐらい語れるようになっておくかーくらいの気持ちで読み始めました。

すると、びっくりするぐらい、自分が勤めている小さな会社との共通点が。

 

共通点の先に、世界に誇る蔵元がある。それならウチだって、イノベーションを起こせるかも!?

 

そんな勇気の源になった、旭酒造と小さな会社の共通点をまとめておきたいと思います。

 

 

旭酒造と、ウチの共通点

この本では、桜井社長(現・会長)の歩んできた道のりに主軸がおかれています。

そこから、ウチと同じだと思う部分を挙げました。

 

  • 1973年のオイルショック以降縮んだ市場
  • 小さな酒蔵が顧客を奪い合う→おまけを1本、2本…リベート合戦に
  • 同じことをコツコツ真面目にやり続ける(精一杯やったという、逃げ道づくり)
    儲からない理由を考えずに済む
  • ルーティンワークをこなすだけの父(当時の社長)、従業員
  • 確実に落ちている売り上げを見ても、やり方を変えない営業
  • 過去ずっと売れなかった酒を、過去ずっと売れなかった取引先に、過去ずっと売れなかった売り方で売っている
  • 問屋は労せず中抜きを続け、酒蔵と販売店の足を引っ張る

 

本当にこの辺は、ウチと全く一緒やん…と思いながら読んでいました。

 

貸し切りバスの安全規制の強化によって、旅行会社やバス会社は格安でツアーを組めなくなり、観光施設に大きな影響がでたこと。

旅行会社から、送客の見返りに要求されるリベートが大きくなっても、拒否できないこと。

負け癖が染みついた従業員。

 

などなど。

あまり細かく書くと怒られるかもしれないので省きますが。

 

ほかにも、紙パックの酒を作るとき、充填機が高額で手が出なかったため、手が空いた従業員に安価のアイロンを持たせて代用させたり…。

これはしばらくは上手くいっていたそうですが、大手の物量戦術に最終的には負けてしまいます。

ウチも、コストを下げるために、できることはできるだけ自分たちでやる、ってところがあるので、親近感がわきました。

まあ、旭酒造の場合は、会社に来ても何もすることがない従業員が多くいた、っていう事情があったようですが。

 

旭酒造のブレイクスルー

桜井社長は、倒産を回避するために試行錯誤を繰り返します。

例えば日本酒を作れない夏に、地ビールを生産しようとした計画など。

(これは大失敗をしてしまうのですが…。)

 

試行錯誤の中でも、旭酒造にとって、ブレイクスルーに繋がったやり方。

さらにウチでも参考になりそうなものをピックアップしました。

 

経験ではなく、理論に基づいたモノマネ

「酒造にとって初めての大吟醸です。私は嬉しくて嬉しくて、鼻高々でした。だって大吟醸を造ったことがない杜氏と私でレポート通りにやって造れたんです。でも今思えば、そのときの大吟醸の出来は60点くらいでしかなくて、そこから先が長いんですが…」

ものまねである。しかし桜井は経験ではなく理論に基づいたものまねをすることがどんなに大切かを知った。

 

桜井社長は、大吟醸を造るため、大吟醸を造ったことのない杜氏と、業界紙に載っていたレポートを見ながら取り組んだそうです。

ちょっとおったまげますよね。

あの天下の「獺祭」のルーツが、業界紙を読みながら、大吟醸に関しては素人のふたりが造り上げたなんて…。

 

大吟醸ではないお酒にしたって、以前は雇われの杜氏が、データも取らず、確認もせず、経験のみに従って作っていたそうです。

 

その業界の常識を疑い、違うやり方を試す。

これはもう、やったもの勝ち、なんですよね。

 

中抜き商売の、問屋との決別

「問屋には伝票を通すだけで商品は全部酒屋に直送していました。問屋は自分たちがセールスをしているから酒屋がお前のところの酒を買うんだと言うんですが、現実には機能していませんでした」
これまで日本をダメにしてきた、典型的な中抜き商売である。物を右から左へ伝票を動かすだけでマージンを取るのだ。あらゆる業界にこういうものは存在していて、そこに巣食っている人間がどれほど多かっただろう。

 

程度の違いはあれど、自分の仕事の周りにも、そういうものはたくさんあります。

もちろんすべてが悪ではないのだけれど、本当にこの人たちと付き合う必要があるのか?

主張に応えられないときに、ボロクソ言われる筋合いがあるのか?

 

物流も、情報も、どんどん自由になってきています。

そんな中で、思考停止に陥らず、しっかり自分の頭で、手を抜かず、必要な付き合いをするのが、大事なのでしょうね。

 

最後に

長い内容になってしまいましたが…

旭酒造のブレイクスルーの一番の要因は、桜井社長が多くの逆境の中でも、仕事を楽しもうとしていたところにあると思います。

大吟醸造りという、より楽しい仕事に取り組む。そのために必要なことをやる。環境を整える。

考えてみれば、いたってシンプルなことかもしれないですね。

 

今の仕事において、自分は何を楽しみたいか。

改めて考えてみようと思います。

 

ご精読、ありがとうございました。